作られた転職神話に騙されない・転職者の実態とは

      2017/06/09

転職者は負け組?落ちこぼれ?いやいや転職者はエリート?ところがその考えはもう古いのです。

今や転職は当たり前の時代になりました。 リーマンショック以降、多くの企業がリストラしました。パナソニック、シャープ、東芝、三菱誰もが知る有名な一流企業ですらリストラをして社員を減らしています。戦後の日本を支えてきた終身雇用は崩れ去りました。リーマンショック直後、会社を辞めざるを得ない人は増えました。しかし別の会社に再就職できた人は増えませんでした。企業側も新しい人材の採用を控えたからです。

しかし現在は違います。リーマンショックから立ち直った企業は採用者を増やしています。一部の業種では人手不足におちいるほどです。人手不足に悩む企業は中途採用者を増やす傾向にあります。新卒と違って即戦力が期待できる中途採用者はむしろ企業にとっても好都合な働き手となっているからです。そのような転職者の実像はかつての転職者のイメージとは変わっています。  

 

いまだに残る転職者に対する時代遅れの誤解と偏見

しかし、いまだに転職者に対する誤解は残ったままです。転職に対する大きな誤解。それはまったく異なる両極端な考え方です。

その両極端な考えとは「転職者は落ちこぼれ」「転職者は限られたエリート」というものです。現実にはどちらもはずれです。たしかにそんな人もいるかもしれません。でも多くの転職者はどちらでもない普通の社員なのです。 なぜこんな両極端な考え方が広まってしまったのでしょうか。  

 

転職者は落ちこぼれ

現在でも多い偏見です。転職するのは「前の会社ではやっていけない人だから」「組織になじめない欠陥のある人だから」というものです。

年功序列の世界に馴染み終身雇用を信じている人にとって、その流れから出た人はおかしな存在に思えます。「なにか問題があるから決められた流れに乗れないのではないか」と考えるわけです。

社員に辞められたら困る企業の都合

しかしその考えは企業によって作られたイメージにすぎません。企業にとって育てた人間が途中でいなくなることは大きな損失です。人を育てるには時間もお金もかかります。育成に費やした投資が無駄になります。企業としてはどうしても避けたいリスクです。

だから企業は若い世代の賃金は低く設定して、長く勤めないと収入が上がらない賃金構造にしました。中高年者を優遇するため、というより短い勤続年数で会社を辞めたら損をする仕組み。それが年功序列型賃金制度の実態です。

しかしそこまでしても会社を辞める人はいます。そうなったら企業側としては落第者の烙印を押して「どうせ使えない奴だったから、たいした損失じゃない」と弁解することにしました。残った社員に対しても「あいつはダメなやつ」とすることで見せしめの効果もあります。北朝鮮の脱北者が北朝鮮国内では裏切り者よばわりするのと同じです。

残っている社員にとっても、企業と事情は同じです。途中で転職して大成功しないまでも普通の人生を歩めるのだったら。彼らが信じてきた「会社に仕え続ければ行きていける」という生き方が否定されてしまいます。だから転職者は認めたくないという考えもあるようです。

企業の価値観に洗脳された社員

そんな組織で育てば社員も転職するのは落第者のイメージを持つのは当たり前です。驚いたことに20代の若い社員でもすでに企業の思惑に染まっています。「転職するのは会社に馴染めない落ちこぼれっすス」という若い社員もいます。そんな人たちは大企業に入ったというだけで満足しているのかもしれません。社会人経験の若い社員は簡単に会社の思想に染まります。大企業に入ったという達成感があればなおさらです。本人の気が付かないうちに企業の思想に染まっているのです。

しかしそれは戦後の日本型経営が作り出した企業にとって都合のいい社員像にすぎません。

その一方で正反対の考え方もあります。

 

転職者はエリート

「転職者は市場価値の高い一部の人間だ」「だから転職すれば高給取りになれる。出世できる」 と考える人もいます。

転職市場の拡大にともなってこの種の間違ったイメージがもてはやされるようになりました。転職サービスを経営する側には都合がいいのかもしれません。転職者を紹介するマスコミの短絡的な報道にも問題があります。

希少品扱いされた転職者

終身雇用が当たり前だった時代、転職者はごく僅かでした。限られた世界ですから自ら転職を選ぶ人にはそれなりの理由があるはずだと思う人が出てきました。凡人には到達できない能力を持った人だから転職できた。という間違ったイメージが出来上がりました。

転職業界・マスコミの都合

さらに現代ではその傾向にさらに拍車がかかっています。転職することによってさらに高い成功が約束される。そんなイメージを抱かせて転職者を増やそうといういう転職サービスやマスコミのイメージ造りにすぎません。実際には転職して収入が増えるのは4割ほどです。

では転職はやはり一部の人だけのもの。やらない方がいいものなのでしょうか。 その考えも違っています。  

 

転職者は当たり前になった

厚生労働省のおこなった転職者実態調査によると平成27年度の一般従業員に対する転職者の割合は全ての産業の平均で8.8%となっています。不動産・物品賃貸業が最も多く12.6%。教育・学習支援業は少なく4.0%。多くの業種で5~10%となっています。

つまり職場にいる人の10人に1から20人に1人は転職者なのです。

少ないと思いますか?多いと思いますか?

従業員1000人の会社なら転職者は50~100人はいる計算です。今後は転職者の数は増えると予想されます。なぜなら企業も転職者を優先して採用したいと考えているからです。

転職者を採用しない企業はもはや少数派

厚生労働省の平成27年度転職者実態調査では「今後3年間に転職者を採用する予定がない」と答えた企業は11%に対して転職者を採用すると答えた企業は52.6%になります。34.2%は不明と答えていますから採用する企業はもっと増えるでしょう。

転職者を新卒より優先して採用する企業が増えた

新卒者と転職者をどちらを優先して採用するかについても調査が行われています。「新規学卒者を優先して採用したい」と答えた企業は12.2%に対して、転職者を優先して採用したいと答えた企業は33.2%になりました。

企業の意識からも即戦力が期待でされる転職者はニーズが高いといえます。転職は一部のエリートや落ちこぼれのものではないことがわかります。現在では企業も転職するのは当たり前のことだと考えている。社員を採用する手段のひとつと考えている企業が増えているのです。  

 

転職は仕事を選ぶ手段のひとつ

企業の意識が変化している現在。企業で働く社員も意識を変える必要があります。転職するのは特別なことではない。転職しているのは普通の社員なのだ。といえるのです。

もちろん転職したからといって成功するとは限りません。それなりの準備とノウハウは必要です。転職を恐れる必要はありませんが、過剰な期待を抱くのもよくありません。

転職は仕事を選ぶ方法のひとつにすぎない。と捉えた方がよいのです。

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